
老後資金、将来の不安、そして「今」をどう生きるか。
50代になると、お金と時間について考える機会が一気に増えてきます。
そんな中で手に取ったのが、ビル・パーキンス著
『DIE WITH ZERO(ダイ・ウィズ・ゼロ)』でした。
「人生の最後にお金を残さず、使い切れ」
少し過激にも感じるこのタイトルに、正直なところ最初は身構えました。
しかし読み進めるうちに、これは単なる浪費を勧める本ではなく、
人生の有限な時間とお金を、どう配分するかを考えるための一冊だと感じました。
本書のメッセージはとてもシンプルです。
人生で本当に価値があるのは「経験」と「思い出」。
そしてそれらには、年齢による賞味期限があるという考え方です。
若い頃は、体力も好奇心もあり、時間も比較的自由です。
年齢を重ねるにつれて、使えるお金は増えても、
体力や自由な時間は確実に減っていきます。
だからこそ、「いつか」ではなく、できるタイミングでお金を使うべきだと本書は語ります。
この考え方は、50代の自分にとって強く刺さりました。
これまでは「老後のために」「念のために」と、
貯めることを優先してきた部分があります。
もちろん、生活防衛資金や老後資金は大切です。
ただ、貯めること自体が目的になっていなかったかと、
少し立ち止まって考えさせられました。
特に印象に残ったのは、
「使わなかったお金は、使えなかった経験と同じ」という考え方です。
確かに、どれだけお金を残しても、
健康や体力を失ってからではできないことがあります。
旅行、スポーツ、新しい挑戦、人との時間。
それらはすべて「今だからこそ価値がある」ものかもしれません。
一方で、「ゼロで死ぬ」という考え方には正直違和感もあります。
家族のことを考えれば、ある程度の余裕は残したい。
不測の事態への備えも必要です。
だからこの本を、すべて鵜呑みにするつもりはありません。
それでも、
「お金は使うためにある」
「使うタイミングを間違えると、価値は半減する」
という視点を得られたことは、大きな収穫でした。
『DIE WITH ZERO』を読んだあと、自分なりに小さな決断をしました。
「いつかやりたい」と思っていることを、
「今年か来年でできないか」と考えてみる。
体力が必要なことは、先送りしない。
モノよりも、記憶に残る使い方を意識する。
劇的に人生が変わるわけではありません。
でも、お金と時間に対する向き合い方が、
少しだけ前向きになった気がしています。
50代は、「まだ先がある」と同時に、
「残り時間が見えてくる」年代でもあります。
だからこそ、これから先を不安だけで埋めるのではなく、
後悔の少ない使い方を選ぶという視点は、とても大切だと感じました。
『DIE WITH ZERO』は、お金の本であり、人生の本です。
これからの生き方を、静かに見直したい人にとって、
一度は読んでおきたい一冊だと思います。